★セーラームーン秘話★






まもちゃんは、ちょっぴり大人なの。
中学生と大学生(アニメ設定)。この差は結構大きいと思う。


クリスタル・トーキョーからちびうさがやって来た時も。
納得できず、子供じみたヤキモチを妬くあたしと違って、ちゃんと冷静にちびうさを見てやってた。
安易に敵だと決めつけないで、両親と離れ離れのちびうさを気遣って。
自分のマンションに泊めたり、タキシード仮面人形をあげたり。
あの時、あんまり口にしなかったけど。
ホントはね。ホントは、ちびうさが憎らしくて仕方なかった。
あたしを心配してくれるみんなはいつもそばにいたのに。
あたしって、ワガママだよね。ちびうさを大切にするまもちゃんが許せなかったの。
あたし、女王なんて器じゃないよ。自分が好きになった人なのに、自分のことばかり考えて、キライだって思った。
まもちゃんも、いつも何も言ってくれないから...。

ねぇ、ホントにあたしのこと好き?
ずるずると一緒にいることで、保護者みたいになってた。
ちびうさの存在を知ったから、一緒になることが当然なんだと...でも、それって本当に恋なの?




「ちょーっと、うさぎちゃん?」
「え、なになに、美奈子ちゃん?」
上の空で歩いていたあたしを、ぐいっと引っぱって、立ち止まらせた。
「赤信号。このまま渡れば、轢かれるよ」
頭一つ高いまこちゃんが、頭上の信号を指して、そう言った。
「あ...ゴメン」
「どうしたの、うさぎちゃん。いつもは一番楽しそうにおしゃべりしてるのに、今日は全然しゃべらないのね」
勉学モードに入ると眼鏡をかける亜美ちゃんが、不思議そうに聞いた。
「う...きょ、今日のテストひどかったな〜って」
えへへへへ、と笑いでごまかそうとすると、それまで黙っていたレイちゃんが、たった一言。
「どうせ衛さんのこと、考えてたんでしょ」
「ぎくっ」
本職が神社の巫女さんのせいか、レイちゃんは時に鋭い。
悩んでいることを口に出したことはなくても、ずばりと言い当てられてしまうのだ。
「え、えへ」
「衛さんから、まだ手紙が来ないのかい?」
まこちゃんが、心配そうに言う。
「うん...」
「そんなに忙しいもんかな」
「海外は初めてだと言っていたし、きっと大変なのよ。生活習慣も交通手段も何もかも違うところにいるんだもの」
亜美ちゃんがフォローしてくれたが、残念ながらあたしの悩みとは少しズレていた。
「うん、まぁ、勉強で忙しいのかなって思うんだけど...」
曖昧な笑顔を浮かべながら曖昧に答えた私を見つめ、レイちゃんが言った。
「───うさぎ。今日はこのまま家に泊まりなさい」
突然の提案に、びっくりする。しかも命令口調。
「ええっ!? レ、レイちゃん??」
「今日はあたしが引き取るわ。それじゃ、また明日ね」
「れ、レイちゃああああんっっ???」
ずるずると引きずられていくうさぎの声を完全に見送ってから、3人は顔を見合わせる。
「...レイちゃんには、うさぎちゃんの悩みがわかったみたいね」
自分にはわからなかったけど、と美奈子。
「残念だけど、ここはレイちゃんに任せるしかないのかな」
料理でうさぎを元気にすることは出来るんだけど、とまこ。
「あまり大人数で話すことではないのかもしれないわね。...また、明日様子を見に行きましょ」
恋愛の場数はあまりこなしていない自分がでしゃばるのもいけないのかもしれない、と亜美。
セーラームーンとしてじゃなく、セレニティとしてでもなく、月野うさぎとして大切だったから、何とか悩みを取り除いてあげたい思いは同じだった。




「ほら、そっちお布団敷いて」
レイちゃん家で夕飯を食べ、お腹いっぱいのまま他愛ないおしゃべりをして、夜になった。
これから聞かれることにビクビクしながら、うさぎは黙って布団を敷く。
レイちゃんには、あたしが何を考えているのか、きっとバレてるんだ。...軽蔑、されたかもしれない。
「さて、と」
2人分の布団を敷いて、向かい合わせに座る。
「うさぎ」
「はいっ」
しゃきーん、と姿勢を正す。
その様子を見て、ぷっと吹き出した。
「あんた、何を怯えてるのよ。別にあたしがとって食うわけじゃないでしょうに」
くっくっくと予想外に笑っているレイを前に、うさぎは未だわたわたと落ちつかない。
「だっ、だって...レイちゃんには、わかったんでしょ? あ、あたしが悩んでること...」
「2人の間に亀裂が入ってるってことでしょ?」
「れっ!」
「違うの?」
こともなげに言われて、どう答えれば良いか悩んでしまう。
「だって、ちびうさがいるんだよ? あたしがまもちゃんと結婚して生まなきゃ...」
「生まなきゃ、“いけない”?」
「......」
「恋じゃないんでしょ、もう。あんたってホント不器用だから、両天秤なんて出来そうもないもんね」
「両天秤って...」
「あのアイドルグループの一人でしょ? 星野とかっていう」
「べ、別にそういうわけじゃないけど」
「そう? でもあんた、あの人といる時、すっごく楽しそうにしてるわよ。...衛さんといた時より」
「......」
「あんたって正直だから、バレバレよ。衛さんとじゃ、話せないこともあるんでしょう?」
「...最初は、ホントに好きだったの」
「本当に運命の人に出会うまでに、恋をまったくしないとは限らないわ」
「前世で、ホントに大好きだったの...」
「それはセレにティとして、でしょう? 今のあんたは月野うさぎ、星野くんと同じ中学生よ」
「...クイーンに託された使命があるのに...」
「本当の気持ちにウソはつけないわ」
すっぱりすぱすぱと斬られていくほど、気持ちが形になっていく。もう、引き戻せない心が。
「...あたし、自分の気持ちに素直になっていいのかなぁ」
それが、一番の悩み。
あたしには、生まれた時から、ううん、生まれる前から決まっている運命があった。それに逆らうことで、誰かを不幸にしないか。少なくとも、ちびうさは生まれてこない。それは正しいことなのかわからなかった。
「...気持ちにウソついて、衛さんと一緒になっても、誰も喜ばないわ。少なくともあたし、いいえ、あたしたちは嫌よ」
「レイちゃん...」
「あたしがセーラーマーズだから、じゃない。あたしがあんたの友達の火野レイだからよ」
いっつもうさぎをこきおろすレイだけれど、それは友愛のあらわれだとちゃんと知っている。ホントはすごく大事に想ってもらってるんだってこと。
「ありがと...」
感動して、嬉しくて、涙をためた目で礼を言うと、
「衛さんは知っていたんじゃないかしら...」
と、ふと呟いた。
「うさぎが衛さんを慕っているとしても、それは恋愛じゃなくて、憧れからきてるってこと。だから、こうやって冷却期間をおいてるんじゃないかしら...」
「...そう、かも」
優しすぎる人だ。戦いの時も何度も身を呈して庇ってもらっている。
「あんたはあんたが好きだと思う人と一緒になりなさい。衛さんは大人だから、許してくれるわ」
「......ん」
そうする。
ごめんなさい、まもちゃん。


「うーうーうー」
土曜に泊まったら、翌日は当然日曜日。それに気付かず、うっかりレイちゃん家に泊まったのは誤りだったのかもしれない。
昨夜の殊勝な気持ちはぶっ飛んでいた。
「ほら、雑巾。そっちからこっち、それとここ。しっかり拭いてね」
まさか日曜の朝もはよから神社の掃除をさせられることになるとは思ってもみなかった。
迂闊だった。
「レイちゃん、容赦ないんだから〜」
昨夜納得はしたものの、一晩泣いてしまったものだから、まだ目が腫れたままだ。そして拭き掃除をさせられている。
...ひょっとしたら、レイちゃんなりの慰め方なのかもしれないけれど。
「はー」
12月の寒空の下、腕まくりをして水拭きはかなりしんどい。レイちゃんを盗み見ると、慣れているのかこたえている様子はなかった。
昨日は迷惑かけちゃったもんね。よし、せめて掃除はちゃんとするぞ!
一層はりきって、猛然と拭き始める。
そこに。

「おお、朝っぱらから元気だな〜! オマエ、低血圧じゃなかったの?」

「せ、星野ぁ!?」
「よぉっ、おだんご」
ありえない。そう凝視したが、幻はいつまで経っても消えなかった。それどころか、ニコニコこちらを見て手を振っている。
「えっ、えっ、どうしてここにいるの!? いっ、今までここに来たことないじゃない!」
仰天した私の前に、軽やかに歩み出た星野は、どういった理由からか、とにかく満面の笑顔だ。
「おだんごに会いたくて」
いつもの通りの軽口。でも、昨夜あんな決意をした後で、こんな笑顔にこんなセリフは反則だ。
「......っ!」
かああああ、とあられもなく真っ赤になってしまい、雑巾を取り落としてしまう。
「...?」
いつもの反応と違う。
変だ、と思い、一歩前に出る。すると、なぜか一歩あとじさる。
「おだんご?」
「こ、来ないでっ」
一歩近づく。一歩退く。一歩近づく。一歩退く。
それを5歩ほどやったところで、星野がキレた。
「おーだーんーごーっ!」
「だっ、だってー!!」
もはや半泣き。自分でも何がなんだかで、恐慌状態に陥っている。
「そっ、その顔と声が、犯罪なのっ!」
意味不明だ。何ゆえ世に誇るアイドルの顔と声が犯罪なのか。星野にはとんと検討もつかない。
好きな女にゴキブリを見たかのごとく逃げられては、さすがの星野もグッサリきた。
早朝5時。中学のクラスメイトが朝の挨拶を交わすのは、いささか妙な時間帯だ。忙しい仕事のため、睡眠時間が貴重なはずの売れっ子アイドル。それをおしても、今朝はどうしても会いたかった。なぜなら、夢で目の前から消え去った彼女をこの目で確かめたかったから...。
それもひとえに恋ゆえ。転校してから、ずーっと一途に想ってきた。なのに当の彼女ときたらてんでニブく、一向にこの恋心を理解しないどころか、このように逃げて逃げて逃げまくる。
「よっ...と! 逃げんな、おだんごっ!」
がっしり。逃げかけたおただんごの前にまわりこみ、しっかりと腕をつかむ。目の前に、顔があった。
真っ赤に熟したトマ...いや、顔が。
「おいこらおだん、ご...? ど、どうしたんだ!?」
好きだ、まもちゃんよりも。そう認識したばかりはずの男を、今すぐまともに見れるはずがない!
腕をつかまれ動けないまま、沈黙した。
「ね、熱か!? か、風邪ひいたのか!? た、大変だ、早く室内に...」
と、完全誤解した星野が、何の下心もなく、ただ「大変だ」と慌てて抱えあげる。
「...っきゃーあーあー!!」
「うわっ」
「はなっ、離して、星野!」
「でもおだんご、熱があるなら」
「星野の、えっちーーーー!!!!」
えええええ!!!???
ばちこーん、と境内にふさわしくない音が響いた。




「...で、そのカオなわけね」
夜天の言葉に、無言でうなづく。
「今日、テレビ出演があるんですが...星野、わかってます?」
大気の言葉にだって、文句なく、うなづく。
わかってる。ああ、わかっているさ。わかっているともよ。
でも、理由もなく、なんっで殴られると思う!? そんなこと、予測なぞ出来ない。少なくとも、オレには。
憮然と黙り込んだ星野に、夜天と大気は肩をすくめ合う。
「やれやれ、痴話ゲンカはテレビ出演のない日にやってよねー」
「まったく、予定の変更が大変です」
呆れて部屋を出て行く2人にかける言葉はない。
ふと、夜天が呟いた。
「...それって、あのコが星野を意識し始めたってことじゃないのかなぁ」
盲点だった。
ぽかんと口をあけた星野を残したまま、2人は出て行く。
───おだんごが...オレを、意識し始めてる? おだんごが、オレを...いしき。
2人が出て行ってわずか30秒後、部屋からガターンと椅子が激しく倒れる音がし、直後部屋の主は忽然と姿を消していた。
「やっぱり、今日のテレビ出演、忘れてるじゃないですか...」
ぽつりと大気が呟いた言葉は、当の本人には聞こえていなかった。




「ねーちゃん、やっぱ格闘技の才能ねぇなぁ!」
火野神社から帰宅して、弟の進吾と夢中でファミコンのコントローラーを操作しながら、やり返す。
「なにおっ! これからよ、こ・れ・か・ら! これでもおねーちゃんは戦闘のプロなんだからねっ!」
「へーんだ、オレに勝てないくせにっ」
「ええいリベンジ! 進吾、もっかいやるわよ...ん?」
どどどどど、と何か牛かイノシシが走る音がする。結構、家の近く?
「あらあら、どこかの犬が逃げたのかしら」
ティーセットを用意しつつ、育子ママがのんびりとコメントする。
「あれは犬って感じじゃないけどなァ。この辺は住宅街だから、そうそう大きな動物も飼えないはずだが」
これまたのんびりと、育子ママとラブラブなパパがコメントする。
「あはは、どっかの猟犬が逃げたのかもねーっ?」
これまた呑気にうさぎもコメントすると、一家団欒の姿がそこにはあった。
「でも、なんか...随分音が近くない?」
進吾が、なんとなく音のする方...玄関に続くドアを見た。と。
ばったーん!!!
家人に断りもなく突如としてリビングに現れたのは、テレビのあるご家庭ならご存知、アイドルスター、星野光だった。
───なぜ、ここに星野がっ?
月野家の人々はまったく同じことを思ったが、うさぎは少し違った意味で引きつっていた。
イボイノシシのごとく、好きな女のコに猟犬とまで称された怒涛の走りで辿りついた星野は、まっすぐにうさぎに歩み寄る。
「せ、星野...ど、どうしてここにっ?」
っていうか人ん家では?
そんな非難は何のその。星野は直進にしか走れないイノシシのごとく、その目はうさぎしか捕らえていなかった。
ずかずかと上がり込んだ星野は、うさぎの傍らにかしずいた。
瞳は100万ボルトの輝き、その甘いマスクは1億の女性をメロメロにするのにあまりある。
「...我が姫」
どっひゃー。
とぶっ飛んだのは誰か。それはともかく、うさぎのすぐ隣に座っている進吾にすら気付かないほど、星野はイッていた。
「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと星野っ!」
親がっ! おとーとがっ!
そんな言葉も耳に入っていないらしい。
そして。
「愛しております」
その瞬間、平和だった一家に、関東大震災のごとき衝撃が走ったのは言うまでもなかった。

「えー...」
こほん、と咳をして口火をきったのは、パパであった。
「君は、うさぎとクラスメイトだということだが」
あれから30分が経ち(なぜ30分もかかったのか、という質問はしてはいけない)、月野家のダイニングに全員が神妙な面持ちで家族会議を開いていた。
「はい」
やっちゃった事実に打ちのめされている星野が、パパさんに返事をした。しかしその声は、非常に気まずそうである。
「あー、芸能界の仕事をしているそうだが...」
やっちゃった星野と同様に、パパさんも気まずげに言葉を紡いでいる。できることなら見たくはなかったとその目が言っている。
「その、君はアイドルであることだし...」
非常に気まずげな顔をした2人を、笑い出しそうになりつつ見守っている長男進吾。
先ほど30分近くも聞かされた口説き文句にうっとりしている育子ママ。
聞かされた内容と、聞かれてしまった事実に浮かれていいのか沈んでいいのかわからずパニクっているうさぎ。
カチ、カチ、カチ。と、静かなダイニングルームに時計の音だけが響いていた。
「2人は中学生でもあるし」
パパさん、花嫁の父らしく強硬な態度に出れず、四苦八苦している。それもその筈、その熱い、熱すぎる口説き文句を30分も途切れることなく聞かされれば、面と向かって何かを強く言うなどできない。
「パパ、大丈夫よ。さっきの言葉、聞いたでしょう?」
育子ママが、フォローにまわった。どうやら、すっかり星野くんを認めているらしい。
「......」
聞いた。聞きすぎるくらいに聞いてしまった。いっそ過去を30分ほど抹殺してほしいくらいだ。
「...しかし、彼はアイドルで」
親らしい文句の一つもある。いくらアイドルで人気が高くても、父親には何の関係もないのだから。
しかし、そんな反対のセリフを聞き、星野は焦った。
好きな女のコの父親に認められたい。誰もがそう望んでいる。しかし、星野はやはり動転していた。
「いっ、一生大切にしますっ!」
───違うだろ、星野。
進吾がたまらずあらぬ方向に吹き出した。
「オレ、いや僕はアイドルですけど、それは目的があるからで、それが果たせたら芸能界を辞めるつもりですから、だから」
やはり、星野は動転していた。
「お嬢さんを、僕に下さいっ!!」
それは18才以上の男性が言うセリフです、星野さん。


テレビ放映直前に現れた星野は、遠い所を見て仲間にこう告げた。
「オレ、キンモク星人やめるかもしれねー...」
「「はあっ!!??」」
それは日本で言う、「人間やめます」宣言と同等の言葉であった。


「星、野...」
ずっと禁句にしてた名前を、誰も見てない今、ぽつんと呟いてみる。それだけで、胸をしめつけれらる想いがした。
───さっき、聞いた言葉...ウソじゃ、ないよね。夢じゃ、ないよね?
「あたし...ホンキにしちゃうよ?」
窓から見える星々は、いつか消えてしまうかも。私の前からあっという間に去ってしまう流れ星なのかもしれない。それでも、うさぎは祈らずにいられなかった。


「あたし、セレニティやめようと思うの」
みんなが集まったレイちゃんちの居間で、あたし、月野うさぎは爆弾発言をかました。

「.........」
あ、やっぱり。みんな固まっちゃった。レイちゃん以外は、目が点になってる。うーん、みんな一応惑星の守護神なんだけどな。
「え、えと? 今、なんかよく聞こえなかったみたいなんだけど、もう一回言ってくれるかな、うさぎちゃん?」
料理が大得意な怪力まこちゃんが、やっぱり目を点にしたままそう聞いた。みんなもこくこくと頷いている。
「んだからね、セレニティやめたいんだ、私」
「えええーーーっっっ!!!???」
ここが高台にある火野神社で良かった。もし住宅街やマンションでこの話をしたら、きっと両隣向こう三軒からクレームがついてた。
「ほっ、ホンキなの、うさぎちゃん...?」
いつもは沈着冷静の亜美が、アワくっている。
「うん、ホントー」
「せっ、セーラームーンのお仕事は!? うさぎちゃんっ」
リーダーとしてやっぱり責任感の強い美奈子ちゃんが、青ざめて聞いた。
「あっ、それはねー、続けます。セーラームーンとしての仕事は終わりなし」
「そっ、それって衛さんと」
一番聞きたかっただろうことを、まこちゃんが聞いた。
「うん、破局」
あっさり。何でもないかのことのように頷いた。
「破局ーーー!!!???」
「うん。ごめん、ホントは私たち、恋愛感情もうずっと前からなかったんだ。昨夜まもちゃんに電話して、終わりにしようって話した」
「で、も...それじゃちび」
少しデリカシーのない(?)まこちゃんが、左右から脇腹を殴られ、沈黙する。苦笑して、
「うーん、ちびうさは生まれなくなるね」
自ら地雷を踏んだ。
いけないことなのかもしれない。未来は決まっているのかもしれない。そう思って、ずっと月野うさぎの気持ちを押し殺してきた。でも、そんなの全然私らしくない。それに気付いたの。レイちゃんが、言ってくれたおかげ。
「あたし、今は月野うさぎなの。月野うさぎは...星野が好き」
後半のセリフだけ、少しだけ勇気がいった。みんなの性格はわかってるけど、それでも軽蔑されるかもしれないと思っていたから。
言ったあと、みんなの顔を見まわそうとした瞬間、
「ホントか、おだんごーーー!!!」
すぱーん、と左右に勢いよく開いた障子の向こうに、何故かアイドル3人組が立ちはだかっていた。
「って、えー! 何でここに星野がいるのーー!!??」
「聞いたぜ、おだんご! 今の、ホントなんだな!? オレのこと、好きなんだな!?」
確かめるように言う星野に肩をつかまれ、がくがく揺さぶられる。
「本当よ。うさぎは星野クンと、らーぶらぶ」
レイちゃんが目を回してるうさぎの代わりに、呆れたように口をはさんだ。
「どうすんの、大気」
夜天が溜め息をついて聞く。
「結婚するのは自由ですが...地球人に帰化したキンモクセイ人なんて聞いたことないですしねぇ」
「まだ言ってんのか、大気! オレは地球人になる! そしておだんごと庭付きの白い一戸建てで暮らすんだーーー!!!」
───すでに将来設計!?
全員激しく心の中でツッコんだが、それは彼には通じない。何故なら彼は老後までイメージトレーニングをすでに終えていたからである。
「おだんご、オレ今すげー嬉しい! おまえもオレのこと好きなんだな!?」
「星野...うん、私も星野のこと、好きだよ」
恥らうようにうつむき、それでもそう言ってくれるうさぎを見て、星野はめまいがしそうな幸福に見舞われた。
「よっしゃあああーーー!!!」
叫ぶと、うさぎを横抱きにする。
「ちょっと、星野...!」
「挙式はリー○ロイ○ルホテルで挙げよう! そしてそのままハネムーンだ!!」
「ええっ!? 星野、今すぐ結婚は無理だようっ」
その前に、あんたらまだ未成年です。
「イヤ、か...?」
うさぎに止められ、ぴたりと動きを止めた星野は、悲しそうな目を向けた。
「うっ...」
さすがアイドル、流し目以上の効果のある悲しげな瞳を意図してやったのかは不明だが、うさぎには一撃必殺に十分だった。
「い、イヤじゃ、ない...」
「そうか、じゃあ今すぐホテル予約(?)をーーー!!!」
どがん。
「今日も明日も明後日も仕事があるでしょう」
大気が、後ろから蹴飛ばした。顔は笑顔だが、何だか気配が怒っている。
「プリンセスを見つけるためにアイドルなんてやってんでしょう? それを提案したのはアナタのはず? いけませんね、途中でプリンセスをほっぽらかして、自分だけ女のコと幸せになろうなどと」
かつて見た中で、一番コワイかもしれない。
「た、大気?」
「プリンセスを見つけるまで、結婚は不可です。ちなみに、アイドルもやめられませんからね? ああもちろん、地球人になるのも延期していただきます」
「そ、そんな」
「まーしょうがないんじゃないのー? ボクらそのために来てんだしー? 大体、一人だけ幸せになろうなんて許せないよね」
夜天まで。一体なぜ彼らがここまで強固に反対にかりたてるのだろう? 
それはひたすらバカップルぶりを発揮する2人のせいなのだが、不幸にも自覚はなかった。
「待って下さい」
それまで黙って話を聞いていた亜美が、スッと立ち上がった。気付けば勉学モードの眼鏡までかけている。何故に?
「うさぎちゃんは、セレニティをやめたとしても私たちの守るべきプリンセスなのは変わりません。よって、そう簡単に2人の仲は認められません」
「え、あ、亜美ちゃーん?」
「衛さんと代わって一緒になる人だもの、じっくり選ばないとね」
亜美ちゃん、笑ってるけど目が怖い。
「よしっ! そうと決まればオシャレも追究しましょ! 今まで衛さんしか見てこなかったから、他の男のコも品定めしなくっちゃね!」
美奈子が嬉しげに叫ぶ。
「相性のいい相手を占いましょうか?」
レイちゃんまで!
「はい、離れた離れたっ」
星野の腕からひょいとうさぎを奪い返すと、
「あんたら仕事だろ? 早く行けば?」
とまことが追い返す。
「ええっ!? みんな〜!?」
「お、おだんご〜〜〜」
「ハイ、星野はボクらと一緒にテレビ局ね」
「今日は笑っ○い○ともに出演予定(笑)です」
冷徹に2人を引き裂くのは運命でも何でもなく、何故か仲間とも呼べる友人たちであった。

「おっ、おだんご〜〜〜!」
「星野〜〜〜!」
「白い家に、絶対住もうな〜〜〜!!!」
「違うでしょ!? 星野〜〜〜!!」


【終われ】 













-----------------------------*** ---------------------------------

本庄さんより投稿頂いた星うさ祭り作品です!!!! このわたくしの興奮が伝わりますでしょうか皆様!!!もう素晴らしすぎてアドレナリン大放出御礼中ってな感じなんですが!!(大興奮) 限りなく星うさ祭り開催してよかったと思った瞬間であります!(敬礼)
この読み応え!この文章センス!いっきに本庄さんファンになってしまいましたvv(ポ) ラブいのにユーモアありまくりでもう大好きですvvv 最後の最後までオチていてもう激しくツボにはまりました!エンドマークまで・・!(笑)
キャラがすっごく生き生きとしていて、本当にあのキャラが頭の中で動き回るんですよ!脳内シアターフル活動vv(笑)
特にレイちゃんとうさの掛け合い、すっごく イメージ通りで・・!音声そのまま頭の中で流れてました!
うさは可愛いし星野はカッコイイ!!!強引なところがまたワイルドでたまりませんvvv(萌) そして個人的に大気さん、やっぱり好きです(笑)

そしてなんといってもこのラブっぷりvv(鼻血)読んでいて何度鼻を押さえたことか・・!(萌) 「萌えたくなったらこの一話」、そんなCMができそうなくらい萌えをありがとうございます、と声を大にして叫びたい、そんな気持ちで一杯です(大萌) 
本庄さん、本当にありがとうございました!!!

 

back