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≪どっきどきvお泊りストーリー〜星野×うさぎ・夜天×美奈子・大気×亜美〜≫
「・・・姉ちゃん、何してんだ?」
背後から声をかけられ、びくんっ! と体が飛び跳ねる。
おそるおそる振り返ると、弟の進吾が不審げに姉を見ていた。
「何って・・・こ、今度の旅行の準備だけど?」
手にしていたものをそそくさと詰めると、「普段から言ってるでしょ、入る時はノックしてよ。それが礼儀ってもんなの」と言い含める。
話題をすげ替えようとしている、とも言えた。
しかし進吾は部屋を去るでもなく、目を眇(すが)めてうさぎを見ている。
「ふーん・・・水着持って?」
「こっ、今度行くとこは海の傍だもん、泳がなきゃもったいないじゃない」
「ふーん・・・おしゃれな服持って?」
「だっ、だってリゾート地だもん、おしゃれしたいじゃない」
「ふーん・・・勝負下着持って?」
「だっ、だって星・・・あああうっ」
真っ赤になり、両手で口を覆って沈黙するうさぎ。
「・・・で、同行者は?」
「・・・・・・亜美ちゃんと美奈子ちゃん」
「ふうーん・・・」
「・・・・・・・・・・」
白い目。ものすごーく、痛かった。
「・・・ま、頑張れな」
何を頑張れなんだか、手をひらひら振ってようやく部屋から出て行った。
泊まり、と聞いてときめかない乙女がどこにいようか。
悲しいかな、セーラー戦士でもない彼女はただの恋する女の子であった。
『なぁ、今度の休みどっか行かねぇか?』
休み、というのは夏休みであることには予想がついた。
しかし行き先はごく普通に日帰りできる所を考え、だからうさぎは、
『あ、いいね、楽しそう! どこにする?』
ノリノリで答えた。
遊園地。映画館。ショッピング。カラオケ。そんなとこだろうと「どこにする?」と聞いたのだ。
んが。
『海』
ニッコリ笑ってたった一言。
「へ?」とまぬけな声を上げたところで、それぞれ彼女を引き連れたアイドル2人も登場した。
「ううう。でもまさか亜美ちゃんや美奈子ちゃんまで彼らと付き合ってたなんて思いもしなかったよぅ」
学校帰りに入った喫茶店で、うさぎは机に突っ伏した。
「あたしだってまさか亜美ちゃんまで付き合ってるとは思わなかったわよぉ」
すかさず美奈子が亜美に振る。
「み、美奈子ちゃんだって言ってなかったでしょう? あたしは・・・勉強のことで色々大気さんに聞かれてたから・・・」
どんな付き合い始めだったのだろう。真っ赤な顔で言葉が尻すぼみになっていく。
「あたしはー、元々アイドル志望だったもん。現役アイドルだって好きだしさっ。夜天くん、意外に親切なんだよ」
えへへ、と彼のことを語る美奈子は本当に幸せそうだ。頬もほんのりピンク色に染めている。
「・・・で、行くの?」
ここに寄った本当の目的まで軌道修正するために、亜美が2人に聞いた。
思わずお互いの顔を見合わせる2人。
「えーと・・・」
「お泊り、なんだもんね・・・」
言葉がない。
勉強ばかりであまり恋に興味がなかった亜美。セーラーV時代から副業が忙しかった美奈子。保護者感覚の彼の保護下にいたうさぎ。
あっさり頷いてしまってよいものか、悩むに十分の提案だった。
「うー・・・夜天くん、どういうつもりで誘ってくれたのかなぁ?」
うさぎ同様にあまり深くは考えられない美奈子がうめく。
「わかんないよねぇ・・・?」
プリンセス・セレニティなだけあって、純粋培養されたうさぎ。
「こういうことは本にも載ってないもの・・・」
と、男の心理までは研究していない亜美。
「大気さんってそういうこと考えそうなタイプ?」
自分の彼がわかんないものだから亜美に聞く美奈子。
亜美の手が思わずフォークを取り落とした。
「・・・そ、んなこと、は、ない、と思、う、けれど・・・」
「ふーん?」
目が泳いでいる亜美を放置し、今度はうさぎに向き直る。
「うさぎちゃんは?」
「へ?」
「だからー、星野くん。うーん、彼ならありえるかもしんないと美奈子さんは睨んでるけどねっ」
「・・・どうだろう?」
「・・・さ、さぁ?」
苦悩する男の下心に悲しいほど気づけない3人であった。
さてこちらは恋人に提案を出した男側。何故か変装してジュエリーショップに出現している。
「・・・女の子の喜ぶものってやっぱりジュエリーですよね」
ブルートパーズを手に取りぽつりと大気が呟く。
「まぁねー。特に美奈子はミーハーだから」
けなしつつもイキイキとネックレスを選ぶ夜天。
「おっ、ムーンストーンだ。うさぎだからなぁ、やっぱムーンストーンがいいかな。いやでも、真っ白い真珠もきっと似合うだろうなー」
もうでれっでれな星野。
日本中の女の子に追っ駆けまわされてるアイドル3人組(実は全員エイリアン)の正体だった。
日本に来てから売れっ子アイドルを続けている3人である。金に苦労はなかった。
「にしてもさー・・・よく一晩でけろっと『うん、親に聞いたらオッケーだってー』なんて返事するよね」
「夜天?」
「だって、男が女の子に「泊まりで旅行に行こう」って言ったんだよ? 普通もっと悩むとか恥らうとかためらうとかしない?」
「・・・」
「ましてや親の許可を一晩でもらってくるなんて・・・おかしくない?」
「・・・・・・」
脳裏に浮かぶ彼女の笑顔。
『大気さん、昨日誘って下さった旅行なんですが・・・母にちゃんと許可を貰ってきましたから』
『あ、夜天くーん! 旅行ね、オッケーだよん♪ 海なんだよね、ああっ、楽しみー!』
『星野、旅行楽しみだねv』
「・・・・・・・・・・・・」
無邪気過ぎる返事。
楽しみにしててくれるのはありがたいけど、主に男側が楽しみと言えるのであって、女の子には・・・ええと。
うーんと、その。
こんなこと今更細かく説明するのも何ですし。
や、だって気づくのが普通でしょ!?
だって正直に言ったもんね!?
頬をちょっぴり赤く染めて、少し言葉を濁してから。
「泊まりで旅行に行(きませんか?/こうよ/こうぜ!)」って!!
僕たち高校生。
ちょっぴり情熱を持て余している年頃でもある。
目の前に可愛い彼女ができた。
なら次のステップに思い切ってホップステップジャンプしたいのが心情でしょう!?
総じてこれを『認識の違い』と言います。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・うわあ、もうみんな来てるっ! ごめぇんっ!」
30分の大遅刻。朝に弱いうさぎが一番最後に待ち合わせ場所に現れた。
時間がなくて、髪すら結んでいない。それをまず星野が誤解した。
───おだんご。今日という記念日に髪型の変化でオレにアピールするなんてっ・・・可愛いヤツ!!
ほとんど馬鹿な勘違いをしていた。
そして勘違いした馬鹿がここにも2人。
(どうしよう、眼鏡大きな荷物の方に入れちゃった・・・あ〜あ、今朝買ったばかりの本、電車内で読もうと思ってたのに)
と自分の失態に悔やんでいた亜美に対し。
(亜美さん・・・今日は眼鏡はなさっていないんですね。コンタクトですか? キスをする時に邪魔にならないように、なんて・・・そこまで考えて下さっているなんて・・・)
と大気は馬鹿な勘違いをしていた。
(あっちゃー、昨日寝る前に邪魔だからって三つ編みになんかするんじゃなかった。忘れて寝ちゃったから変なウェーブついてるよ〜)
と自慢のストレートヘアを思って悔し涙していた美奈子は。
(美奈・・・僕のために、今日はウェーブをつけてきたんだ・・・可愛いよ、美奈)
と、夜天にこれまたすんごい馬鹿な勘違いをされていた。
「それじゃ、行きましょうか」
期待に胸躍らせ、ウキウキしているアイドル三人組はいつもよか5割増し輝いていた。
「すごーい、きれー!!」
海辺の(もちろんアイドル3人組が手配した)可愛いコテージに荷物を置き、既に日が沈みかけている海に揃って出向いた。
女の子3人組は波打ち際まで走り、靴を脱いできゃあきゃあ戯れている。
その3つのシルエットに、影でこっそりガッツポーズをとる男3人組。
「星野ー、早く泳ぎたいね!」
「夜天くん、明日は沖まで競争しよっか!」
「大気さん、今日から勉強は少しお休みですよ」
無邪気に笑う可愛い恋人たち。それぞれに手を振り返しつつ、もう逸る気持ちを抑えられそうにない。
「肩抱きしめてー・・・」
「今夜、ってのはちょっと早いよね・・・」
「いけません、まずはこの気持ちを伝えてから・・・」
煩悩を呟きつつも、男3人組は何とか気持ちを押し止める。それは恋人たちが彼らの元へ戻ってくるまで続いていた。
「んじゃー、おやすみ!!」
「また明日ね!」
「おやすみなさい」
夕飯を食べ、お風呂に入り談笑し。その後出た彼女たちの台詞である。
「・・・・・・(え?)」
埴輪になる男どもを気にかけず、楽しそうに話しながら自分たちの部屋へ戻って行く。
部屋割りは一人一部屋ずつだが、パジャマパーティをするとかで3人は今夜同じ部屋で過ごすらしい。・・・恋人ではなく同性の友人と。
「・・・彼女たち、わかっててやってんの?」
「まさか・・・」
「・・・がふっ」
うめく男ども。
今宵は普通の夜のようです。
「おっはよ〜!」
なかなか寝付けなかった男どもより一足先に起きていた女の子3人組が、朝ごはんの支度をし始めている。
何やら妄想を呼ぶ光景だった。
『んもう、星野ったら・・・ほら、ほっぺにご飯粒ついてるゾ』
『夜天くん、ネクタイ曲がってるよ。くす・・・変なとこ不器用だよね。あたしがやったげる。これからもずっと、ね?』
『大気さん・・・今日は結婚記念日ですね。夕飯作って待ってますから、早く帰って来て下さいね?』
「・・・何やってんの?」
「お〜い? ダメだ、どっか遠いところに行っちゃってるよ、うさぎちゃん」
「寝過ぎですか?」
さてさてともかく。
朝食を食べ、いよいよ水着、いえ海です。
水着を着込んで、さあイチャイチャ、もとい、恋人と過ごすお時間です。
「美奈、おいでよ!」
昨夜の轍は踏まじ、と先手を打って夜天が美奈子を強引に引っ張って行き。
「おだんご、ボート乗ろうぜ!」
無免許でどこまで行くつもりか、星野はうさぎを乗せるとアクセル全開で海の彼方へ消えてなくなり。
「亜美さん、行きましょう」
笑顔なのに有無を許さぬ迫力で亜美を連行する大気。
無駄に仲の良い3人を、一気に引き離すつもりのようです。
さて、ここからはそれぞれに焦点を当てて覗いてみましょう。
(夜天×美奈子)
「美奈・・・」
「ん? なに、夜天くん?」
アイドル業で培った経験を最大限に活かし、雰囲気を出して声をかけてみたのだが。愛する恋人はけろりとしたものだった。
「・・・・・・」
「あたしこれでも運動神経に自信あるんだよ。あの岩までどっちが早く着くか競争しよう!」
「美奈」
「よーい、ドン!」
勝手に勝負を始めた恋人はホントに腕に覚えあるらしく、あっという間にクロールで去ってしまう。
───君、わかっててやってない?
がくうっと脱力しつつも、悲しいかな、人魚のように泳ぐ姿に見惚れてしまっている。
「そういうつもりなら・・・」
ぱしゃん、と水の中に潜った。
───びっくりした、びっくりした、びっくりしたあぁっ。
真っ赤になりながら、懸命に水をかく。
───だっていつにない優しい目でとんでもない声出すんだもんっ。いくらなんでもアレは反則でしょ!?
いてもたってもいられなくなり、海に飛び込んだ。
動悸が全然おさまってくれない。彼の前では平気なフリをしたけれど、全然平気なんかじゃなかった。
「・・・ん? なに?」
口の中で呟きつつ、水の中目の端に捕らえたものをしっかり見ようとする。
“それ”に力いっぱい引っ張られ、海中に囚われる。
───え? え? え? 夜天くんっ!?
どうやって追いついたものか、海中で2人は遭遇した。
そして、意地悪な笑み。
『え・・・?』
考える間もなく。
海中Kiss。
『えええ〜〜〜っっっ!!!???』
ぶっとんだまま、長々とくっつく。
息は送り込んでくれているのでつらくはないが、それ以前の問題があった。
「ぷはぁっ」
海面に上がり、数秒。
「・・・いつの間に追いついたのよぉ」
真っ赤になった美奈子に、にっこり笑う。
「美奈が僕から逃げたからね、そりゃもう命懸け」
「・・・夜天くんのエッチ」
「自覚してもらって光栄v」
(星野×うさぎ)
「おだんごv」
「・・・・・・っ」
ずさっ。
イキイキとしている星野に比べ顔面蒼白で後ずさってしまっても、一体誰に咎められるだろう?
360度何も見えない海の果てまで連れ去られ、いきなり爛々とした目で振り返られても怖いだけである。
「せっ、星野落ち着いて、何か変だよぉっ」
「変? 変じゃないぜ、おだんご」
そんなことを言いながら、星野の背後に何か黒いものが見えるのは気のせいだろうか。
「落ち着いて、星野っ。何かに憑かれてるよっ」
「憑かれてる・・・? 一体何に?」
爽やかに微笑んでいるが、背後はどす黒い。強いて言うなら煩悩にとり憑かれている。
「さあ、おだんご! 夏を楽しもうぜっ!」
ハイテンション・星野。彼は安倍清明にも落とせない煩悩にとり憑かれていた。
「こっ・・・怖いって、星野ーーー!!!」
水平線しか見えない海のど真ん中。うさぎの悲鳴は誰も聞いていなかった。
(大気×亜美)
「あの、大気さん?」
「何でしょう?」
「この奥って・・・灯り見えませんけど?」
「そのようですね」
「・・・・・・」
いつも冷静にしているあの大気さんが。
───今日はどうしたのかしら・・・?
亜美の手首をがっしり、そりゃもうがっしり掴んだまま、何故か海辺の洞窟の中に入っていく。
───一体、この先に何が待っているというの? ハッ! ま、まさか・・・。
家を出てくる前に読んだこの土地にまつわる本のことを思い出し、歩みを早めた。それに大気が気づく。
「亜美さん?」
「わかりました大気さん。ずっと言い出せなかったんですね? うさぎちゃんも美奈子ちゃんもいたから・・・」
「亜美さん・・・」
真剣な瞳と瞳がぶつかり合う。
さあ、いきますよ! そう大気がはりきったところで。
「この洞窟はやっぱり異星人が舞い降りたところですね!?」
「・・・・・・は?」
目が点になった。
───え、何ですって? 異性人? 異星人? いせ・・・えっ?
戸惑う大気に『みなまで言うな』と手をかざす。
「わかってます、私もここの土地の伝承は本で読みました・・・。確かにここ50年ほど、科学では説明のつかない現象が立て続きに起こってます。空間の歪みはないけれど、それに近い感じはする・・・きっと何かがあるんだわ!」
だんだん興奮してきたらしい。目が燃え始め、顔つきが真剣になっている。
ロマンチックな雰囲気とは無縁になってきていた。
「うさぎちゃんや美奈子ちゃんはこういうこと苦手ですし、2人で調べようってことですね! わかりました、行きましょう大気さん!」
大気の返事を待たず、肩を怒らせためらうことなく闇の中に突進していく。
「・・・そういう研究者なところも魅力的です・・・」
うつろに呟き、彼女の後を追った。
「楽しかったねーv」
美奈子と夜天がニコニコ笑顔でコテージに戻ってきた。昼ごはんを食べるためである。
「・・・そうですね」
ふっ、と遠い目をして大気が答えた。
「・・・どうしたの? 何か目がうつろだけど・・・」
聞くと、ただ力なく首を振る。
それはまさに『聞かないで下さい』と言っている。ので、夜天は言及しないことにした。今度は星野に振ろうと星野を見ると。
「・・・・・・・・・」
どこへ行って来たの? そしてそこで何をして来たの? そう聞きたくなる顔をしていた。
星野の幸せそうな顔。その横で涙ぐんでいるうさぎ。
───まだ、午前中だよね、星野・・・。
いささか不安になりながら、このことについてはプライバシー保護を建て前に不問にした。
「・・・お昼ご飯、任せてもいい?」
ふらり、とうさぎが2階への階段を上っていく。その後姿に、「体気ィつけろよーっ!」と星野が声をかけた。
───ああ。やっちゃんたんだ、星野。早いよね、ホント・・・。
───こういう時は全くためらいナシですよね、星野・・・。うさぎさんは自分のモノとか考えてませんか?
仲間の呆れた視線にも動じず、愛する彼女のために昼ごはんを鼻歌まじりに作り始める星野である。
甘いもの大好きな彼女のために、食後のデザートまで作る気でいる。彼は今最高に幸せなので、何でもやる気なのだ。
「午後はどうする?」
夜天が昼食の席で美奈子に問いかけた。
うさぎの手は止まり、星野は目を輝かせ、大気は遠く空を眺め、亜美は手元の資料を見つめた。
「えっと・・・」
午前中のデートは楽しくて、有意義だった。けれど別行動をとった他の2人がちょっと変だ。
美奈子はうつむくうさぎとここまで来て何故か分厚い科学の本を手にしている亜美を見て返答に詰まる。
「えー・・・っと。う、うさぎちゃん? 午後はどうしよっか」
彼氏を無視し、親友に問いかける。
「あたし・・・午後はゆっくりしたいな」
よくわからないが、疲労困憊しているのは見てとれた。
「亜美ちゃんは?」
「ちょっと調べたいことがあるから、この辺りの図書館へ行ってくるわ」
・・・マジですか、亜美ちゃん。
美奈子はちょっと引きつった。大気を盗み見るとうつろな目で窓の外を眺めている。・・・諦めているのかもしれない。
「・・・ちょっと美奈。君、誰の彼女なの?」
完全無視されて、ちょっとご立腹の夜天。午前中のキスですっかりいちゃつきモードに入っている。
「ご、ごめんね夜天くん。えーと、じゃ、どうしよっか」
「散歩しようよ。この辺り、景色キレイだから」
「う、うんそーね。散歩でもしよっか」
───そんでもって恋人たちの時間を過ごすのですか。ふふ・・・今は少ーしうらやましいですよ、夜天。
───そっかー。散歩していろんなとこ巡るのもいいよな。でもおだんご今日はもう疲れてるみたいだし。うん、夕方までコテージに付き合って、夕方か夜になったら外へ連れ出そう。
そんなそれぞれの思惑をよそに。
ここからまた別行動になる3組である。
(星野×うさぎ)
───もうあたし帰りたい、かも・・・。
フルマラソンを完走してしまった直後のように疲れ果てた体を持て余し、目の前のゼリーをつつく。
目の前にはニコニコしている自分の恋人。他のメンバーのように外出することなく、こうやってうさぎのためだけにデザートまで作ってくれている。
「・・・星野は食べないの?」
「ん? オレ? 食べさせてくれる?」
あーん、と口を開けて待つ星野。一瞬悩むが、スプーンに一口分すくって、そっと口元まで運んだ。
ぱくっ。
「うん、うめー! ・・・ん? 何だ、おだんご?」
「んっ? んーん、何でもないよっ! あー美味しい、このゼリー!」
「? そっか。よかった」
───星野ってホント無邪気っていうか何て言うか・・・恥ずかしいとかないのかな? あたしなんか、星野と同じ部屋にいるってだけで緊張しちゃって目のやり場に困ってるのに。
にこにこにこにこ。
何が楽しいのか、ずーっとにこにこ笑っている。
「・・・何でそんな楽しそうなの?」
「え? そりゃさ、全部オレのものになったんだなーって思ったら・・・」
どがちゃーん!!
言葉の途中でうさぎがグラスを突き倒した。
「ななななな! 何言うのよ、星野ぁっ」
「え? だってうさぎがオレのものに」
「ややややめてえぇっ!!」
「・・・おだんごは、嫌だったのか?」
「そそそそゆことでわっ」
ないのよないのよないんだけどぉっ。
「そうか・・・そういえばずーっと泣いてたもんな」
「いーやーあああ!! 言わないで、お願いだから言わないでーっ!!」
大絶叫。
それに! 泣いたのはそういう意味じゃなくて!! 説明する気はないけど!! 察してよぉ、星野ぁっ!
「・・・冗談」
く、とそのまま含み笑っている。
これはもう、暇だからうさぎで遊んでいるとしか思えない。
「ばか!」
真っ赤な顔でそう言い、残ったゼリーをぱくぱく食べて。
可愛いな、と星野はうさぎを眺めるのだった。
(夜天×美奈子)
「うさぎちゃんたち、どうしたのかしら・・・」
上の空で呟いた。
散歩を出て15分。ぼーっと天気のいい海辺を歩きながら、あれこれ考えていた。
うさぎちゃんは何か涙ぐんでた気もするし・・・亜美ちゃんに至っては、一体どうしてあんな小難しい本を読んでいたのかわからない。
リーダーとしてV時代から気にしてきたことなので、こんな時にもあれこれと気遣ってしまう。
そんな様子の美奈子に夜天はちょっとばかし面白くない。
───せっかく午前中イイ感じだったのに・・・ほんっとリーダー気質なんだから。
ちょっと溜め息をつき、美奈子の髪をとった。
「美奈・・・僕だけを見てよ」
「夜天くん?」
セーラーヴィーナスとしてセーラー戦士を率いる美奈子は嫌いではない。むしろ凛々しくてカッコいい。
が。
「時々僕だけのものになったらいいのにって思う」
美奈子の長い髪。手にとっても、さらさらと掴みどころがない。まるで本人のように。
だから。
「僕だけのものになってよ・・・美奈」
目を見つめて。
口づける。
「夜天くん・・・」
───普段はクールで、ホントに好きでいてくれてるのかなって思うこともあるのに・・・。
今日は海に来ているから? だからこんなに違うの?
切なげに見つめる目に何か答えなければと思う。
「夜天くん、あたし・・・あたしは、夜天くんのものだよ。いつもあたしの方ばっかりが好きだって思うのに」
「僕は美奈しか見てないよ」
「・・・ホントに?」
「本当・・・」
空のブルーと海のブルー。きらきら反射した海面。暖かい日差し。でもそれよりもっと暖かくなった今日のこの気持ち。ずっと覚えていよう。
(大気×亜美)
───亜美さん。あなたのその探究心は素晴らしいものだと思います。けれど私の気持ちも考えて下さい・・・。
亜美にくっついて図書館にやってきた大気だったが、高速で資料を読み進める姿を見守ることしかできなかった。
「・・・・・・」
亜美の目は大気を見ていないかのようだ。仕方ないだろう、自分だって亜美とのことがなければ仲間をほってでも調べていただろうから。
そういうところも、悲しいかな、2人は似ている。
軽く溜め息をつき、ほとんど人のいない図書館で向かい合って座る。
真っ青な空が窓から見えて。静かで落ち着いた図書館にいて。なおかつ大好きな彼女もいるのだから、これ以上の贅沢はないのかもしれない。
そう落ち着いた気持ちになり、辞書にしか見えない本を何冊読み終えた頃だろうか。
「大気さん」
手元の本を閉じた亜美がにっこり笑って声をかけた。
「ああ、読み終えたんですか?」
「はい。付き合って下さってありがとうございました。何とか謎は究明できそうです」
「それは良かった」
菩薩に似た微笑を浮かべている大気である。
「なのでこれから・・・」
「はい?」
「お茶飲みに行きませんか? 私のおごりです」
「え」
「ほら、この図書館に来るまでにおしゃれな喫茶店があったでしょう? そこで」
・・・全然まわりが見えなくなってると思っていた。
「すみません、ずーっと付き合ってもらって。でも・・・傍に大気さんがいてくれるだけで、私・・・」
「亜美さん・・・」
───他の2人のように甘い雰囲気ではありませんが・・・これもまた私たち2人に合っているのかもしれませんね・・・。
(星野×うさぎ)
「みんなで花火やろーな!」
「うんっ、星野!」
「そんで夜は・・・」
「わわっ! 言わなくていい、言わなくて!」
「・・・」
耳元にぽそっと呟いて。
真っ赤になりつつ、頷くうさぎ。
可愛いな、と思った。
(夜天×美奈子)
「今度はさ・・・」
「ん?」
「2人だけで来よう、美奈」
「何で?」
「あの4人、うるさいから」
「ぷっ」
思わず笑いがこぼれる。
「そだね、夜天くん」
そうやって、笑う君。
いつだって、笑わせてあげる。
(大気×亜美)
「亜美さん」
「何でしょう」
「夜、あの洞窟について考察してみませんか?」
「いいんですか?」
ぱあっと笑顔が広がる。それが嬉しいから。
「私もあの洞窟は異星人が降り立ったと思うんですよ」
付き合います、どんな話でもね。
【バーカ(笑)】
PS
・・・星野の行き過ぎた行動についてはノーコメントで(笑)
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素敵星うさ小説でお馴染み、本庄さんより投稿頂いた星うさ祭り作品第三弾です☆
星うさ祭りにはもはや欠かせないお方ですね☆いつもありがとうございます〜vv
今回「ちょっぴりエッチ☆」な星うさとのことで期待大vvだったんですが、いやはやどうですか!!!これを読まれた貴女ならもう言葉は
いらないはず!(笑)
「お泊まり旅行」と言えば少女漫画の王道パターン!乙女(突っ込んでは行けません)の夢!
も う 最 高 ・ ・ ・ ・!
しかも今回、3カップルですよ〜vv三度美味しいお泊まり小説! 萌えて笑えてラブラブでvv 夢のようなお話ですねvv
しかし3CPのうち、ホントに恋人同士らしいロマンチックな時を過ごしたのは約一組(笑) それだけにあとの二組とのギャップが笑いの涙を誘います(笑)<大気さんには憐れみの涙を誘われますが(笑)負けるな大気さん!!
星野は色んな意味で熱血漢なので(笑)うさも大変です!
本庄さん、ホントにありがとうございました〜v
そしてこれを読まれた皆さん!感想でも萌え語りでも良いので是非本庄さんへ愛のメッセージを☆
やっぱり何か反応があると嬉しいものですよ☆そして次回作の原動力を本庄さんへ!(笑)<をい
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